2008年10月アーカイブ

【 加工技術を訪ねて(1)「工業彫刻」 】

はじめまして。彦と申します。
今月から毎月月末に技術的な匂いがちょっと強め(?)のレポートを寄稿させていただきます。

今回はその第1回として、工業彫刻の一端を株式会社ソルテック(代表:小泉 源一郎さん、http://www.saltec.co.jp/ )の取り組みにみてみたいと思います。

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【参考】 ソルテックは、2004年に開催された第1回切削加工ドリームコンテスト(主催:森精機製作所)の微細加工部門に挑んだ「刻印付きエジェクタピン」。φ0.6先端部の「SSS」の凸文字や段付き部(φ0.6→φ1.0)の「SALTEC」の凹文字を彫刻機で加工。文字サイズは、高さ方向(長手方向)で0.18〜0.2mm。コンテストでは技能賞を獲得


 

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1. 彫刻機も大活躍
(株)ソルテックは、東京都墨田区東駒形に本社工場、弘前市のおとなり青森県南津軽郡田舎館村に青森工場をもつ50人規模の精密加工メーカです。
同社の工業彫刻に今も大活躍しているのが、NC加工機が普及し始めた昭和50年ごろから次第に使われなくなった彫刻機。

右手側のテーブルにセットした金属製の版下をトレースして、顕微鏡で見ながらワークに彫刻します。
彫刻機は、母型をトレースして加工する仕組みの加工機でCAD/CAMもNCデータも要りません。

必要とする図形(=文字やマーク)のサンプルがあれば手早く加工を始められますし、"削りの状態"を顕微鏡で常に観察しながら加工するため、送りの速さや切り込みを自在に変化させられます。

また、工具の形状や特性は、工具研磨機でつくるオリジナルの工具で作り込みます。
これによって、NC機では加工が困難な熱処理材などの硬い材質や超硬合金、立ち壁ぎりぎりの底面など狭い場所、平面だけでなく、うねった面や自由曲面など、「これは放電加工でしょ!」という場所にも、文字や会社のマーク、模様などを、材料や形状など諸条件に適した加工ができます。


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<エジェクタピンの加工例>
写真左はφ1エジェクタピン先端への文字の凹加工。
写真右のエジェクタピンは、左の4本がφ3、中央の2本がφ1、右の5本がφ0.3。いずれも彫刻機による加工。


 

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<工場内の彫刻機>
昭和40 年代には、カメラや双眼鏡をはじめとする光学機器など、"Made in Japan"の輸出を支える工作機械として大活躍。



 

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<研磨作業>
彫刻加工用の刃先を加工するための工具研磨機
(サカザキマシナリー「SG-V10」、昼間精機「SG-5」など)


2.仕上げの決め手は"手わざ"
彫刻機でもNC機でも、加工した凹凸形状のエッジ部には"ダレ"が残ります。

これを顕微鏡を覗きながらタガネを使って手仕上げ。

超硬材への凸文字加工であれば、文字の天地サイズ0.3mm、高さ0.1mm、文字刃先の幅0.02mm± 0.005mm、複数文字でのサイズ・高さのバラツキは0.01mm以内(!)まで対応でき、さらに、凹文字ならば深さ0.15mm±0.005mm(!)が可能。

放電加工でできたダレもこのような手仕上げで修正するそうです。

なお、凹文字・凸文字の電極も彫刻機で製作しています。


 

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<原図・版下>
加工形状を紙に描いた原図をエッチング処理して作成します。


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  <彫刻機による加工>



3.加工面へのこだわりに応える
一般にいわれる直彫り加工のメリットは、電極の準備と放電加工、その後の手仕上げにかかる時間やコストが不要にできることです。

しかし、近年の精密金型部品ではこれらの理由に加えて、放電加工による表面の荒れを嫌って直彫りを指定する例も増えているそうです。

このような加工面へのこだわりなど、よりハイレベルな直彫りニーズに対応できる同社は、とりわけ会社のマークなどの精密刻印や複雑・微細な模様、IT機器・OA機器や電装品向けコネクタ類の精密金型部品などが好評です。
もちろん、直彫りニーズの一方では、「ツヤなし」、「放電シボ」といったリクエストもありますし、深い形状や立ち壁面の角Rのない凹エッジなどの放電加工でしかできない形状には放電加工を最適活用します。
同社は、"彫刻の手わざ"で培った精密加工のノウハウを、NCによる高速直彫りや精密放電、研削,フライス手加工に展開して、顧客からのさまざまな製作ニーズに最適対応できる体制づくりを推進しています。



【彫刻機による加工例】


 

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<彫刻機による文字彫刻例>


 

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<立ち壁のキワへの文字加工>


 

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<曲面への文字やマークの加工>


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<曲面上に文字を加工した電極>



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株式会社ソルテック 本社工場
東京都墨田区東駒形2-16-10
電話 03-3624-3381 / FAX 03-3623-6174


 

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株式会社ソルテック 青森工場
〒038-1141 青森県南津軽郡田舎館村
大字川部字上船橋46-2
電話 0172-58-2281 / FAX 0172-58-3188


今回、紹介致しました?ソルテックさんの技術にご興味のある方は、
直接、お問い合わせ頂くか、
もしくは山本の方へご連絡頂ければ、ご紹介を致します。
どうぞお気軽にご連絡ください。

10/16〜19 九州〜広島の取材の旅
10/21〜22 ビジネスサミット出展

と慌しい一週間でしたが、ようやくひと段落しました。
ご関係者の方々、大変お世話になりました。
皆様のお陰でまた一つ成長させていただきました。
ありがとうございました。

さて、このブログを始めてから、いろいろな方と出会う機会が増えました。
今日の話もその出会いの1つです。

先月、このブログを見て下さったモノづくり系の技術雑誌の記事を書いておられるライター「彦」さんという方から「この活動に賛同します!」という嬉しいメッセージを頂きました。
早速、弊社にお越し頂いて、いろんなお話をさせてもらったところ、なんと!プロの記事を提供して頂けることになりました!

提供して頂く記事は、どちらかというと技術的な内容が濃いものになりそうです。
皆様の技術開発や仕事上でのヒントになれば嬉しいです。
月末週は、製造業事情や技術資料、展示会・イベントなどの紹介をしていますが、その枠に彦さんの記事を持っていくことにしました。
僕とは違った視点や口調で書かれると思いますので、どうぞお楽しみに!

皆様、これからも彦さん共々どうぞよろしくお願いします。

今週は、静岡県富士市にある『有限会社 渡辺金型製作所』さんを紹介します。


昭和60年創業。
創業2年後の昭和62年に工場を新設。
現在まで23年間、射出成形型を作り続けています。


保有設備です。


・マシニング マキノV55 900×500×450

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・NCフライス マキノBN2-85 850×500×450

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・ソディック 600MC(グラファイト仕様)

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・放電加工機 ソディック A5R(高速鏡面仕上げ加工機)
 

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・放電加工機 ソディック A3R

・汎用フライス 3台
・精密平面研削盤 1台
・ラジアルボール盤 1台
・旋盤 1台
・CADCAM 2台
・ダイスポ 1台


作製型サイズは、成形サイズで350tまで可能だそうです。
射出成形型ならどんなものでも作製可能ですが、その中でも特に力を入れているのが、自動車のドア内張りやインパネ、リアパーシェルについている樹脂製のスピーカーカバーの金型です。

スピーカーカバーは、一昔前はプレストリムされたパンチングメタルという金属板が付いていましたが、最近ではほとんどが樹脂製になりました。

デザインや大きさ、パンチングの穴径、穴数は、車種やスピーカーメーカーによって違います。
開口率と言うのが重要で、金型の構造上塞がってしまう穴は、客先に問い合わせをするほどシビアな製品です。


 
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スピーカーのパンチング加工は、切削工具でNC加工することはほとんどありません。
グラファイト素材を使って、放電加工をします。
スピーカーの放電加工の場合は、普通の放電加工と違ってシリコン放電というものを使います。
放電された加工面が鏡面なことからピカ放電とも呼ばれています。
放電液の中にシリコンパウダーが入っていて、そのパウダーが&#;$※♂?○だそうです。。。
すみません、よく分かりません。。。

このシリコン放電は、特殊な仕様なのでここら近辺(富士・富士宮)で設備されているところはあまりないそうです。
渡辺金型さんのスピーカー型の評判を聞きつけて、県外からも依頼がくるそうです。


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社長さんは、独立前はプレス型メーカーにいたそうです。
その後、樹脂の試作型メーカーで樹脂型のノウハウを勉強し、現在に至ります。
今では金型加工は機械直彫りが当たり前ですが、一昔前の樹脂試作型はZAS鋳造がメインでした。
木や樹脂素材で型モデルを作り、鋳造します。
上型は、モデル(木型)→反転→反転(砂型or石膏型)→鋳造。
下型は、板厚分を抜かなければならないので、

モデル(木型)→反転→板厚調整→反転→反転(砂型or石膏型)→鋳造という工程になります。
板厚調整にはシートワックスというものを反転モデルに貼って製品板厚を抜いていきます。

・・・

話を戻します。


社長さんはその後の工程、鋳造し終わった金型の仕上げ/まとめを担当されていました。
鋳造された面の磨き、押出しピンの設定、スライドコアなど。
先週紹介した金型を構成する部品 をフライスで作製し、組み付けて、型まとめです。
現在は上下型とも機械加工なので、上型下型の合わせ面は多少の調整でピッタリ合いますが、鋳造物はそう簡単には合いません。
光明丹を付け、型を合わせ、強く当たっているところを擦り擦り、あっち擦りこっち擦りして、全面を均一にピッタリ合わせます。
その絶妙な擦り具合は、まさしく職人技です。

僕がやったらシーソーのようにカタカタになってしまうと思います。
この職人技術を持っているからこそ、スピーカーのような細かい金型でもバリなく仕上げられるのでしょうね。


今回お伺いしたときは、放電用のグラファイトの素材をバンドソーで切り出していました。
腕、マスク、真っ黒になって作業していた後姿を見てたんですが、何だろう、職人さんって後姿からも職人オーラを感じるんですよね。
やっぱ、かっこいいです。
僕も職人オーラを出せるような人間になりたいです。


 
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樹脂成形型なら何でも来いですが、今後は、もっとスピーカー型の技術を磨いていきたいそうです。
今までも難しいスピーカーをたくさん作製されてきたので大概のものはできますが、もっと刺激がほしい……とは言ってませんでしたが、今までにないような難しいスピーカー形状も挑戦していきたいそうです。
渡辺金型さんの更なる技術発展を願っております。


今回、紹介致しました渡辺金型さんの技術にご興味のある方は、
直接、お問い合わせ頂くか、
もしくは僕の方へご連絡頂ければ、ご紹介を致します。
どうぞお気軽にご連絡ください。


有限会社 渡辺金型製作所
〒417-0801 富士市大渕3718-35
TEL 0545-36-1397
FAX 0545-36-0750


最後に、
渡辺金型さん、お忙しい中、貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございました。
いろいろなお話を聞かせて頂き、大変勉強になりました。
またお伺いさせて頂きますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
一緒に元気な日本を作っていきましょー!



『増田精工』

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今週は、静岡県富士市にある『増田精工』さんを紹介します。


昭和60年1月に設立。
金型部品をメインに各種部品加工を業務とされています。
従業員数は3名です。


保有設備です。
・NCフライス 大隈豊和 1000×500×520
 

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・NCフライス 山口鉄工 1000×450×545

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・汎用フライス 3台
・ラジアルボール盤 1台
・ボール盤 1台

・旋盤 1台
・CADCAM 1台


射出成形金型にはいろいろな部品があります。
製品形状を形成するスライド駒、傾斜駒、入子、など。
金型を構成する押出し板やサポートピン、スペーサブロック、ガイドレールなど。
もちろんすべて精度が必要です。


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3D形状加工は、CAMで加工データを出して加工機にセットしてしまえば、機械精度内で加工してくれます。
が、そうではない加工、図面値で表現できる加工というのは、機械を操作する人の経験値で精度が左右されます。
公差が厳しいほど熟練が必要です。

増田精工の社長さんは、そういう熟練技術を独立される前に大手金型メーカーで覚えました。
感覚は体で覚えています。

ドリル穴あけなども、最近ではNC機で固定サイクルで無人加工が当たり前ですが、マニュアル操作で加工をされていました。
ボール盤ですと、ドリルに掛かる負荷がハンドルを通して伝わってくるのですが、フライス機ですとその感覚はありません。
切削音と切削煙だけで判断し、切り込んで行きます。
僕だったら、怖くてなかなか切り込んでいけず、キリキリ音ばかりが響くことになると思います。

 

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機械精度が上がったからといって、出来上がる部品は精度が良いかというと、そうではありません。
やはり、熟練された技術や感性を持っていないと精度の良い部品は出来上がりません。
社長さんは、
「今の技術力に満足していてはいけない。常に磨いていかなければいけない」と言われていました。
すばらしい…


 

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今回お伺いしたときは、シリンダブロックという立ちが深くて高い精度が要求される部品を作製されていました。
図面を見ながら、こうでこうで、とイメージしながら加工工程組みをされていました。
僕も横で「ふん、ふん、そうですね」と一緒になってうなづいていましたが、実は全く理解できていませんでしたw


 

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増田精工さんの次の一手は、マシニングの導入だそうです。
現在あるNCフライスには簡易ATCはついていますが、複雑な形状加工が多くなってきた為、使用工具の本数が増え、ATCが足りないそうです。
マシニングを導入し、お客様の短納期に応えていきたいと言われていました。
マシニングが入ったら、お祝いを持っていきますので呼んでくださいね。

増田精工さんの更なる技術発展を願っております。


今回、紹介致しました増田精工さんの技術にご興味のある方は、
直接、お問い合わせ頂くか、
もしくは僕の方へご連絡頂ければ、ご紹介を致します。
どうぞお気軽にご連絡ください。


増田精工
〒416-0931 富士市蓼原682-1
代表:増田 隆宣
TEL/FAX 0545-64-6338


最後に、
増田精工さん、お忙しい中、貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございました。
いろいろなお話を聞かせて頂き、大変勉強になりました。
またお伺いさせて頂きますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
一緒に元気な日本を作っていきましょー!

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