【 生産性アップへの取り組み例 】
こんにちは、彦です。
有力な工作機械を購入するだけで仕事がついてきたかつての佳い時代とは異なり、設備ならばどこの国でも購入できる今日。
設備の所有よりも、その使いこなしが企業のチカラの差を生む時代となってきました。
今日は、“現場へのPC配備”と“稼働実績の集計システム”を通して生産性アップに取り組んでいる新潟県の株式会社ループラを紹介します。
・株式会社ループラ(新潟県豊栄市)
株式会社ループラは、従業員は20名、マシニングセンタが10台、放電加工機が4台稼働する精密ゴム金型メーカです。
固まっても柔らかく、ある程度の変形を許容できるゴムの特性上、ゴム金型には樹脂金型のような抜き勾配の制約がありません。
パッキンの金型製造をメインとする同社の場合、アンダーカットを含む金型の比率は高く、抜き勾配がないどころか、アンダーカットも当然のように存在します。
対応策として放電加工はもちろんのこと、切削送りが極低速のヘール加工を多用。その一方で、ミーリングによる高速加工も行うため、加工担当者には加工に対する幅広い知識やノウハウ、感性が要求されます。
しかし、要求されるハイレベルな加工技術の一方で、同じプレートサイズでも金型1面あたりの単価が安いといわれるゴム金型。
50人・100人の会社ではできないオリジナルな方法で競争に勝っていくことを目指して、1)現場へのPC配備と、2)NC加工機の稼働管理システムの活用によって生産性アップを図りました。
図1 同社製金型による製品例
各種シールパッキン(O-リング、X-リング、Y-リング、U-リング)やガスケット、オイルシールなど工業用精密ゴム金型を中心に製作。
図2 主要設備
マシンニングセンタ 三菱重工M-V5A×5台、M-V60C、M-V70C、M-V70DF、牧野フライスV55、V77、高速放電加工機 牧野フライスEDNC65S-A16MR、ワイヤ放電加工機 三菱電機DWC 90C/H、3DCAD/CAM シマトロン
図3 パッキン類の金型は多数個取りが基本。ゴムの特性上、アンダーカット形状も多く、放電加工も多い。放電加工機には電極マガジン・電極チェンジャを装備。
1) 加工機毎にPCを配備
金型の生産性アップに不可欠な加工に対する担当者の幅広い技能習得のために、同社はまずNC加工機毎のPC配備に取り組みました。
DNCサーバーの役割も兼ねたPCを各工作機械に1〜2台ずつ設置し、以前のような“何か知っていそうな担当者”に直接聴いていた状態から、電子文書化を図りました。
Windowsの検索機能で簡単に検索できるWordやExcelで情報を蓄積するほか、グループウェアとWeb型の文書管理システムを連携させてあらゆるファイルを一元的に管理するようにしました。
目的の情報に的確にアクセスでき、知りたい情報を・必要なときに・誰もが・すぐに入手できるよう、担当者は加工を開始する前に過去の切削条件やトラブルの履歴を検索して、始める加工について“予習”する環境を整えました。
工場内に配置されたPCで情報の蓄積とその再利用、部門間のコミュニケーションを促進させています。
図4 現場のPC
2) NC加工機の稼働監視・実績集計
ヘール加工という極低速の切削では、油性の切削油を使わざるを得ません。
実際、工具の損耗によって大きくなった切削抵抗による発熱でクーラントが発火したこともあります。
工具の能力を最適かつ安全に使い切っているか切削負荷を客観的に把握するために、稼働管理システムを使用して切削負荷の監視と機械稼働の集計を開始しました。
社員1人あたりの生産性をスタート時の2倍に高めることを目標に、安全で能率のよい加工条件を探求と、NC加工機の稼働実績を経営に活かすシステム化を推進してきました。
・工具の能力を安全に使い切る
1台目の導入から3年で全てのマシニングセンタに切削監視ユニットを装備。
稼働実績の収集と切削条件の分析を継続し、社員が工場の状況を科学的な分析をともなった状態で正しく簡単に把握できる「みえる化」の加速に取り組んできました。
得られた数値データによって、機械設備の運転時間・稼働時間を正確、かつリアルタイムに把握して、機械のコストと人 件費を正しく算出して生産性の指標に活用できるようになったほか、生産性アップと時短を推進する際のグループごと・作業者ごとの目標設定や改善の動機付け にも活用できます。
客観的なものさしで生産性が測れることで、仕事への工夫や改善、仕事の絶対量が数値としてきっちり現れるので、社員のモチベーションにも好影響があったそうです。
・稼働の“見える化”を加速
10人程度までの会社ならば、工場の負荷、機械の稼働率や作業者の仕事の濃淡は、社長自身が現場の雰囲気を感じつつ管理することもできます。
しかし同社は20人。
いくら社長自身が《現場で働きたい、機械を動かしたい》と思っても現場にいられる時間は限られてきます。
工作機械の稼働実態を正確なものさしで客観的に記録できるようになり、工場の能力を正確に把握できるようになりました。
経営面において、仕事の受注や納期をどのようにできるか判断したり、仮に機械の故障や加工のトラブルが発生したと き、それによる損失やスケジュールへの影響も具体的に把握できるようになったほか、加工費の見積り精度が高まって管理者・責任者のストレスが減るなど、工 場管理者や経営者の迅速で正しい判断に役立っています。
設備投資についても、たとえば、《社長、設備がフル稼働なので新しい機械を買いましょう》と担当者から言われたと
き、従来ならば抽象的な言葉でなんとなく会話していたのが、どういう機種を導入すると工場全体の仕事がどう変わるか、金型サイズも考慮しながらシミュレー
ションができるほか、シミュレーションの過程で導入しないで済む知恵も生まれるようになり、職場の活性化にも好影響があったそうです。
図4 切削監視ユニット「FA-871」取り付け例
図5 切削監視ユニット「FA-890」取り付け例
NC装置の主軸アンプと一時停止ボタンまたは非常停止ボタンに配線し、スピンドルモータにかかるロード信号を0.01秒ごとにサンプリング。
この信号の0.5秒間の平均値と最大値・最小値をデータ送信する。
過負荷を検知して送りを停止することで設備やワークのダメージを抑えたり,エアカットなど負荷が減った際に送り速度を高める制御も行う。
なお、最大16チャンネルのNC装置の接点情報を取り込んで、スイッチのON/OFFから「加工中」・「停止」・「異常発生」といった機械の状況を検知する「FA-890」もある。
いずれの切削監視ユニットからの信号も、PCの専用ソフトでリアルタイムに収集・分析される。
主軸の回転数と負荷(=工具負荷)を算出してグラフ表示するほか,最大負荷やエラーの履歴,主軸の回転時間,エアカット時間,DNC 転送回数,過負荷検出回数などを日・週・月ごとに集計できる。
【ワンポイント】
一般に、このような稼働管理システムには、下記のような導入メリットがあるといわれています。
1)機械稼働の実績がデータとして残るため、トラブル発生時の迅速な原因究明ができる。
2)稼働実績データとスケジュール管理システムをつないで生産管理のしくみ全体を回す原動力にできる。
3)生産性が数値として見えることで、グループごと・作業者ごとの動機付けに活用できる。人事や給与を公平に査定する根拠としても使える。(社内体制・人事評価)
4)新しい機械設備が本当に必要か、その機械が生み出すバリューはどのようなものかシミュレーションできる。(銀行融資のプレゼンにも活用できる。)
5)根拠のある公正な数値にもとづいた適度な競争のある自由闊達な企業風土の醸成。「誰が正しいか」から「何が正しいか」で考える風土への移行。(機械稼働率の向上。派閥の解体効果も。)
株式会社ループラ
〒950-3362 新潟県豊栄市高森新田80-2
TEL 025-258-5190(代)
FAX 025-258-4034
代表取締役 浜田 浩氏
事業内容 ゴム金型の製造・販売
会社設立 平成3年1月
今回、紹介致しました?ループラさんの技術にご興味のある方は、
直接、お問い合わせ頂くか、
もしくは seizo-ouen@gs-field.net
へご連絡ください。
どうぞお気軽にご連絡ください。








コメントする