こんにちは、彦であります。
リニューアルした「すごいぞ!」ブログへの投稿初め、今回は アルミ合金・マグネシウム合金の型締力1,000 トン以上の大サイズのダイカスト金型、チクソモールド金型を設計・製造する 株式会社河村製作所 をご紹介いたします。
1940年(昭和15年)に電装部品のメーカとして創業し、1954年(昭和29年)に樹脂成形金型を、その6 年後からダイカスト金型の製作を開始し、近年は 「高精度ダイカスト金型」、「独自技術による冷間鍛造部品」、「各種油圧プレス装置の設計・製造」を経営の三本柱としています。
金型製造部では、フロッピーディスクに始まってハードディスクへと続く各種ドライブ装置やカメラボディなどの精密部品用から、自動車用の電装部品やオートバイ用のクランクケースやトランスミッションケースなどの型締力800トン~1200トン級にいたるまで、大小さまざまなダイカスト金型を製作しています。
また、1998年からは、アルミ合金用に加えて、ノートパソコンやカメラボディ向けのマグネシウム合金用の金型も手がけており、同社が製造する金型の1 割以上がマグネシウム合金用となっているそうです。
株式会社河村製作所
〒319-1221 茨城県日立市大みか町2-2-12
TEL : 0294-52-1991(代表)
FAX : 0294-53-4824
URL : http://www.kawamura-ss.com/
設立: 1940 年(昭和15 年)10 月
事業内容:自動車電装部品の製造・ダイカスト
金型・冷間鍛造金型の設計製造、冷間鍛造機械・
油圧プレス機械の設計製造
従業員:105 名
一般に,ダイカスト成形は,樹脂の射出成形と比べて型締力,湯温,射出速度などが高く,熱と衝撃の両面で金型が受けるストレスが格段に大きい特徴があります。
湯(=溶かした金属)の温度が低く射出条件が緩やかな亜鉛ダイカストであれば50万ショット程度の金型寿命も可能ですが,アルミダイカストでは通常7~8万ショット,形状や肉厚などの条件が整って射出速度を緩くできる場合でも20万ショットが限界だそうです。
なお,金型設計においては,成形品への寸法精度の要求は樹脂成形品よりも緩い傾向にある一方、射出速度が速いため金型内の空気の"逃がし"や,金型表面に生じる微細なひび割れ(ヒートクラック)への配慮も重要です。
【写真1】1000トン級のアルミダイカスト製品の例
直彫りと放電加工を最適に使い分け、工具の突き出しを1mm 単位で最適化
過酷な射出成形に耐えるため、ダイカスト金型の材質は、アルミ合金用・マグネシウム合金用ともSKD61 を用いることが多く、焼入れ処理の後ではHRC50 程度、金型仕様によってはHRC55~56の硬さに高めることもあります。
このような材質を短時間で加工するために同社では直彫り加工だけでなく放電加工も適宜採り入れて最適な設備稼働を追究しています。
また、切削加工においては、工具は、荒取りには丸駒チップ、仕上げにはソリッドミルを選択しています。
焼きばめ式のテーパホルダなども積極的に取り入れて微小形状の直彫りにも取り組んできました。
たとえば、工具径と突き出し長さの関係にこだわり、CAMシステムが用意しているシミュレーションや干渉チェックの機能をフル活用して、その金型の加工に最低限必要な突き出し長さを1mm単位で検討したうえで、テーパホルダの干渉チェックを行いながらツールパスを演算します。
また、仕上げ切削用のツールパスは、牧野フライス製作所が提唱する"fpコンセプト"の考え方をベースに、切削と手仕上げの合計時間が最短になるように自社の加工に合わせて送り速さとピッチを設定しているそうです。
このような『躾』(=習慣)は2002年ごろにはすでに徹底され、納期の管理に大いに役立ったそうです。
さらに、直彫り・電極レス化に取り組み始めた1995年ごろを基準にすると、そこからの10年間で使用する電極の数は、高速加工による直彫りによって約3 割減少、そのあと登場したテーパホルダを取り入れることでさらに約3割削減し、もっとも多く電極を使っていたころに比べると電極数は半分以下にまで減ったそうです。
硬い材質への文字の彫刻などもφ0.4〜φ1のエンドミルを使って切削加工で対応しています。
ソリッドミルは再研磨・再コート、磨き工程ではショットブラストも活用
焼き入れ処理後に行う仕上げ加工は,硬さの点からチップ工具では対応できないため、ソリッドミルを使用しなくてはなりません。
同社では,新規に購入したエンドミルの工具径をすべて実測して記録しています。この統計から、実測結果が規格値にもっとも近く、かつバラツキの少ない日進工具製のエンドミルを好んで使用しているそうです。
また、再研磨したエンドミルも積極的に使用しています。数年前から(株)ジーテックが行っている宅配便を使った再研磨・再コートのサービスを利用しており、それ以前は1 カ月に90万円程度かかっていた工具代を60万円程度に抑えることができたそうです。
【写真2】再研磨・再コートしたソリッドエンドミル
直彫り化を推進する一方、硬さや形状の問題から、放電加工を選択する場面も多くあります。
同社では、電極加工機として3 台のSNC64(牧野フライス製)と、EDNC64(同)など5 台のNC 放電加工機が稼働しています。
なお、各加工機のNC装置には、汎用の加工に使用できるNCカスタムマクロが登録してあり、穴あけやポケット加工の際にはプログラムを呼び出して必要な寸法をパラメータに入力することで、手早く切削をスタートできます。
これらのマクロ群は「マクロプログラム取扱説明書」としてクリアファイルにもまとめ、各加工担当者に配布し、加工の標準化と短時間化、ポカミスの予防に役立てています。
【写真3】加工担当者用の「マクロプログラム取扱説明書」
【写真4】 加工後の金型部品。
加工後の磨き工程では,ガラスビーズによるショットブラストを活用。
ガラスビーズによるショットブラストを活用すると、金型表面をピカピカに磨きすぎるとかえって離型性が悪くなる傾向を改善する効果があります。 ショットブラストを前提に手仕上げで磨きすぎないことで,仕上げの担当者が4人から3人に減らせる効果もあったそうです。
後半では、同社のIT活用など仕事の工夫についてさらにご紹介したいと思います。








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