アイテム

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5.書評の最近のブログ記事

あ、どうもご無沙汰してます。

気が付けば、2月以来のの書評になります。
ずいぶん間隔が空いてしまいましたが、
そんなことは気にせずに。。。
今回ご紹介する書籍はこちら

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【最高齢プロフェッショナルの教え】
徳間書店取材班 著 / 徳間書店

本書では、各分野のプロが15人登場します。
ただし、プロはプロでも最高齢。
15人中、一番若い人は51歳(JRA騎手)と
そこまでお年を召してはいらっしゃいませんが、
他の方々は、全員80オーバー
最高齢中の最高齢は、なんと103歳(声楽家)

言うならば、それぞれの分野の生き字引的な人たち

そんな人たちの言葉に共通するのは
シンプルだけど、力強く。
我々がこれから各々の分野でやっていくのに、
勇気をもらえること請け合いです。


■ 目次
91歳 現役最高齢「漫画家」やなせたかし
    60代で人気漫画家となった「アンパンマン」の生みの親
88歳 現役最高齢「パイロット」高橋淳
    戦前から70年、2万5000時間を飛んだ、その名も「飛行機の神様」
78歳 現役最高齢「ギター職人」矢入一男
    数々の有名ミュージシャンを魅了した伝説の「ヤイリギター」の生みの親
96歳 現役最高齢「喫茶店店主」関口一郎
    銀座の名店「カフェ・ド・ランブル」店主は80年間、コーヒーの研究を続けてきた
85歳 現役最高齢「落語家」桂米丸
    落語芸術協会の最高顧問。いまだ新作に挑戦する85歳の落語家
83歳 現役最高齢「ライフセーバー」本間錦
    30年以上、水死事故ゼロの記録を樹立。「海の守り神」と呼ばれる、水難救助隊隊長
93歳 現役最高齢「スキーヤー」高橋巌夫
    日本初の音楽プロデューサーから転身、雪原を舞い踊る93歳のスキーヤー
89歳 現役最高齢「ピアニスト」室井摩耶子
    本物の音楽を知りたい一心でドイツに渡った、この道80年の日本を代表するピアニスト
82歳 現役最高齢「花火職人」小口昭三
    星が消える花火「マジック牡丹」を開発。3世代で伝統を支える82歳の花火職人
84歳 現役最高齢「杜氏」継枝邑
    半世紀かかって磨き上げた腕と経験により、多くの日本酒コンクールで金賞を受賞。
90歳 現役最高齢「DJ」安藤延夫
    会社倒産後、47際で日本初DJとして再出発。若者や外国人を魅了する最高齢DJ
84歳 現役最高齢「バーテンダー」山下達郎
    この道、65年。札幌ススキノの名店「BARやまざき」で多くの文化人を魅了してきた
51歳 現役最高齢「JRA騎手」安藤光彰
    48歳でJRA騎手免許試験に合格。地方競馬から「遅咲きの移籍」を果たした異色のジョッキー
83歳 現役最高齢「洋樽職人」斎藤光雄
    55年間、数々の困難を乗り越えてきた日本のウィスキー樽造りのパイオニア
103歳 現役最高齢「声楽家」嘉納愛子
    歌の心を伝えるために103歳になった今も歌い続ける

本書に出てくる最高齢のプロの方々は、
元プロというわけではなく、現役です。

ですから、ものすごい経験値とともに
今も知っている方々です。

各々、インタビュー形式で掲載されているのですが
みなさん、小難しい言葉は使っていません。
でも、言葉になぜか重みがあるという。。。

きっと同じ言葉を自分が言ったとしたら、
ただの日常会話で終わってしまいそうなのに、
それがこの人たちが言うと途端に重みを増します。

それが最高齢でなお現役な方たちの経験値から来ていることは
容易に想像つきます。

そういう意味でも、本書は名言満載です。

その極々、一部をご紹介します。
繰り返しになりますが、
これらの言葉は、この人たちが言うからこそです。


もし、今の仕事に不満を持っている人がいたら、
『こんな仕事、自分のやる仕事じゃない』なんて言わずに、
何でもやっておくといい。
その経験はすぐに役立つものではないかもしれないけれど、
すべて自分の血や肉になっている。

(p15 91歳「漫画家」やなせたかし)

せっかく生まれてきたんだから、僕は死ぬまで進歩したい

(p42 88歳「パイロット」高橋淳)

人の役になんて、立たんでもいいやん。それよりも人に迷惑かけんこと、
面白いことをする方が先です。そんな簡単に、人の役になんて立てるもんか。

(p53 78歳「ギター職人」矢入一男)

好きなものは、自分の身近なものから見つければいい。難しく考えちゃだめ。
「ちょっと面白そうだな」と思うことなら、何でもいい。
それをね、少し掘り下げてみるんです。

(p78 96歳「喫茶店店主」関口一郎)

不況のせいで仕事が以前より減っていると感じる人も多いでしょう。
でも、私が生きてきた間を考えても、
関東大震災、世界大恐慌、戦争と、もっと深刻な状況はいくらでもありました。
それでも、世の中に仕事がなくなった、なんていう事態にはなりませんでした。
仕事は探せばあるんです。

(p198 84歳「バーテンダー」山下達郎)

いかがでしょう?
決して難しい言葉を使っているわけではありませんが、
非常に重みがないでしょうか?


ところで、本書には各人の写真が載っているのですが、
みなさんとてもいい顔してらっしゃいます。

何かに没頭するということは、
そういうことなのかも知れません。

我々、製造業という分野でおそらく一生過ごすことになるでしょう。
ここに載っている人生の先輩たちのようにいい顔をしていたいものです。




久しぶりの書評です。
今回ご紹介するのは、コチラの書籍になります。

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『ムーンショットデザイン幸福論』
奥山 清行 著 / ランダムハウスジャパン


著者の奥山さんは、
フェラーリのデザイン・ディレクターを勤めたこともある
日本を代表する世界的なデザイナーです。

非常にさまざまな経験をされており、
デザインナーとものづくり現場の両方の視点を持っており、
世界から見た、日本のものづくりやデザインの
長所短所を把握している方です。

奥山さんの著書をこのブログで紹介するのは始めてですが、
どの著書も、起業の大小に関わらず
日本の製造業者、デザイナーすべての人に読んでいただきたい。
個人的には、そのように思える良書です。

■ 目次
PART.1 僕が出会った幸福な人たち
PART.2 モノと人の「幸福な関係」
PART.3 「幸福な仕事」のキーポイント
PART.4 幸福を実現するためのプロジェクト


■ 書感

今回の書籍、実はかなり抜き出したい部分があったのですが、
さすがにそれを全部のせてしまうと出版社に訴えられてしまいそうです。
(見ているかどうかは別として。。。)

というわけで、今回は厳選して5箇所抜き出すのにとどめておきました。

デザイナーに要求される資質は「絵がうまいこと」や「ものづくりのアイデアがたくさん出せること」だけではない。多くの人の話を聞き、それを理解する能力も必要だし、私情を捨てて客観的に判断し、選択する能力も持っていなければならない。それらの中で何よりも必要なのは、コミュニケーション能力だと僕は思っている(4)

デザイナーに関わらずただいいモノを作っていればいい時代は終わりました。
ただ作るだけなら、人件費の安い国で作ったほうがいいですからね。
これからの時代に必要になっていくのは、
コミュニケーションをとることで、より良いもの、オリジナリティがあるものを
作っていくことではないでしょうか?

そんな中、象徴的なのがイタリアのブランドの話。

なぜロングコートなのかと言うと、仕立てを変えるたびに少しずつ短くしていけば、いつまでも古くならないからだ。日本の女性がその昔、着物でやっていたことと同じだ(57)

イタリアの女性が高いブランド物のコートを買うのは、長く一生ものとして使うためであり、
日本人でよく見かける、宗教的なブランド崇拝とは違うということ。
そして実は昔の日本でもそれは行われていたこと。
多少高価でも、より良いものを長く使う。
これは日本でものを作る場合に意識したい部分だと思います。

さらにその上に加味したいのが。。。

一人の船頭たる設計者の個性がハッキリした車やバイクは、不完全な部分があっても人の心を動かし、買った人をも捲き込んで、後世に残す努力をさせる。優れたものは生み出した人と感動を受け継ぐが一緒になって歴史に残るのだ(67)

個性。
先ほども書きましたが、今の日本では、
いいものを単に作ればいい時代は収束に向かっています。
となると、我々が生き残るためには、
大量生産品との差別化を図らなければなりません。
製品のロングライフ設計や個性といった部分は、
キーワードになりそうです。


人にはそれぞれ得意、不得意があるが、民族にもそれがある。
例えば日本はものづくりが得意な国民で、金融などは本来不得意な分野に入るのは他国の優秀な人たちと比較すると分かる。
いくら韓国や中国に追い上げられても、日本人はこれからものづくりで生きていくのは理にかなっている。(136)

今知るべきは市場の動向などではなく、自分達が何を作りたいかということだ。
そもそも何をする為に創業者はこの会社を始めたのか。
この会社を生み出した日本と、その地域はどういう文化を持つのか。
そしてそれを受けた自分たちは、どういった信念を持っているのか。市場が一番知りたいのはそこのところで、それがブランドを作る柱になるのだ。(145)

不景気だからといって、安易にオリジナル商品をリリースすることには疑問が残ります。
失礼ながら、そういう商品が欲しいかどうかと聞かれると。。。
ですから、単にだせばいいというものではありません。
しかし、日本でものづくりをし続けることは理にかなっていると、奥山さんは述べています。
世界を良く知っている方の言葉ですから、これは相当に重みがあります。
あとは、そのやり方ではないでしょうか。。。

その根底にあるのが、自分達が何を作りたいのか?という問いにある
そんな気がいたします。

もちろん、その道のりは簡単ではないわけですが、
『できるかどうか?』ではなく、『やらなければいけない。』
もう、そんな時代なのではないでしょうか?






あわせてコチラの書籍もどうぞ


月末ではないですが、書評です。

今回、ご紹介する書籍はこちら
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『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』
山口 恵理子 / 講談社


サブタイトルにあるとおり
本書は25歳で起業をしたマザーハウス代表 山口さんの
幼少時代から起業までを自ら綴った自伝エッセイになります。

書籍の帯についていた内容文に
少し肉付けしてご紹介しますと。。。

小学生時代にイジメを、中学時代には非行を経験。
そんな折、出会ったのが柔道。
なんと県で優勝し、全国大会に進出するも、2回戦で敗退。
もっと強くなりたいと高校時代に入部したのは「男子柔道部」。
そこでも最終的にかなりの成績を納めるも、大学に行きたいと切望する。
そして偏差値40からの一流大学への挑戦、合格。
大学を卒業し、本当の現場を見たいと渡ったのが
アジア最貧国であるバングラデシュ。
日本で生活している我々には想像もできなくらい
腐敗にまみれた国で見つけた眠る素材、出会う人々。
やがてバッグ造りで起業を決意。
数々の失敗、挫折、裏切りに遭いながらも歩みを続け、
途上国発ブランド、マザーハウスを軌道に乗せる。

25歳といえば社会人としてはまだまだ若造かと思いますが、
その経歴は、なかなかすさまじいものがあります。

25歳という若き起業家から、 我々が学ぶことはたくさんありそうです。


■ 目次
第一章 原点。学校って本当に正しいの?
第二章 大学で教える理論と現実の矛盾
第三章 アジア最貧国の真実
第四章 はじめての日本人留学生
第五章 途上国発のブランドを創る
第六章 「売る」という新たなハードル
第七章 人の気持ちに甘えていた
第八章 裏切りの先に見えたもの
第九章 本当のはじまり
エピローグ 裸でも生きる


■ 書感
文字通り波乱万丈な経歴なわけですが、
山口さんに特別な才能とか、強さがあるわけではありません。

実際、本書でもよく泣いていますし、よく挫折してます。

しかし、本書を通して感じることができる著者山口さんの性格。
頑固で、負けず嫌い。まっすぐで、思ったら即行動。
そしてなにより、自分に正直であること。
この辺りが、マザーハウス立ち上げの原動力になっているのは間違いないことでしょう。

・7冊以上たまった柔道日記を見た。そこには
 「絶対にあきらめない。絶対にあきらめない。あきらめたらそこで何もかも終わってしまうから」
 と書かれていた(p29)


バングラデシュに行くきっかけとなったのも、
ある些細な出来事が心の中に引っかかり、それが大きくなっていったため、

・事務所に置いてある真新しいパソコンで
 「アジア 最貧国」
 と検索した。
 そして出てきたのは、
 「バングラデシュ」
 という国だった。
 それからバングラデシュ行きのチケットを取るまでは、一週間も経たなかった。(p68)

ものすごい、行動力です。

しかし、そのバングラデシュでうける『教科書には載っていない現実』は半端じゃありません。
腐敗、賄賂、格差。。。
そんな国を知れば知るほど湧いてくる疑問。
滞在時間が足りないと痛感するようになった山口さん。
そんな彼女のとった次なる行動は、

・「受かったんだよ!私!大学院生になるんだ!」
 「へぇ〜、やっぱり大学院に行くことにしたんだー。でもやけに早いね〜。どこの大学院?」
 「バングラデシュ!」

というわけで、
初めての日本人留学生として、バングラデシュの大学院生になってしまいます。
本当にものすごい行動力です。

そして得た結論

・必要なのは途上国への施しではない。貧しい国で作られたものを
 欲しくもないのに「かわいそうだから」という理由で
 高い値段で先進国のバイヤーが買っていくフェアトレードという発想じゃダメ、
 先進国の消費者が本当に「これカワイイ!」と思うものを、
 このアジア最貧国で作ろう。(amazon内容紹介より)
・発展途上国ブランドを創る(p121)

こうして、マザーハウスという会社が誕生します。
(もちろん、会社になるまでの苦労も半端じゃないです。)


社会起業家という言葉があります。

社会起業家(しゃかいきぎょうか)は、社会変革(英: Social change)の担い手(チェンジメーカー)として、社会の課題を、事業により解決する人のことを言う。社会問題を認識し、社会変革を起こすために、ベンチャー企業を創造、組織化、経営するために、起業という手法を採るものを指す。(wikipediaより)

本書の山口さんもいわゆる社会起業家なわけですが、
日本の成熟した経済状況で、社会起業という考え方は
とるべき道の一つのように思います。


最後に、本書で最も印象に残った一文をご紹介します。

そして、今日もバングラデシュのみんなが私に問いかける。
「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?」(p260)

景気がどうのこうの言っても、
私たちのいる日本の環境は平和で、そして幸せ。
やりたいことがあるのならやるべきではないでしょうか?
(まぁ、それがなかなか難しいわけなんですけど。。。)

「自分もがんばろう」
そんな気にさせてくれる良書です。
是非、ご一読ください。


■ 書籍概要
『裸でも生きる』
山口 絵理子 / 講談社 (2007/9/22)




月末恒例の書評です。

今回、ご紹介する書籍は、
棋士 羽生善治さんと海洋冒険家 白石廉次郎さんの対談をまとめた1冊です

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『勝負師と冒険家』

棋士の羽生名人についてはご存知の方も多いのではないでしょうか?
史上3人目の中学生棋士としてデビューを果たし、その後数々のタイトルを獲得。
通算タイトル獲得数は、将棋の長い歴史のなかで歴代2位だそうです。

海洋冒険家 白石さん。
実はこの方のことはこの本で始めて知りました。
1993年に単独無寄港世界一周を達成。
なんと当時の世界最年少記録だそうです。

将棋と海、住む世界はまったく違いますが、
どちらも常人よりはるかに高い精神力を要求される世界なのは間違いないわけで。。。
そんな世界に住むお二人の対談。
色々と我々へヒントになりそうなことがつまっていそうです。


■ 目次
はじめに 野生の勘を持っている、白石さん/羽生善治
序 章 勝負師と冒険家
第1章 少年時代の夢は必ずかなえろ
第2章 ヨットと将棋の共通点とは
第3章 危機からの脱出法
第4章 社会に対して価値を生み出せ
あとがき 頭脳のアスリート、羽生さん/白石康次郎


■ 書感
白石/運というのは天からの賜物で、人間技じゃないんだよね。我々が問われるのは、運をつかむ準備ができているかどうかなんだ。長くて過酷なレースになればなるほど、やっぱり運をつかむ準備というのが大きな要素になってくる。/p101

よく運のいい人、悪い人といいますが、運を掴むためにはそれなりの努力が必要です。
日々、努力を重ね、準備を備えているからこそ、運を掴むことができるようです。
そもそも、ただ運がいいことをうらやましがるだけの人って、
運が通り過ぎるのに気がついてないだけかもしれませんよね。

羽生 / 意識的にアクセルを踏むようにしないと、かえって自然と減速しているというような感じになるんですね。ここまでやるのはやりすぎじゃないかな、くらいのつもりでアクセルを踏まないと。そこが若いころと一番違うところだと思います。/141

仕事において、経験というのは非常に大切なものですし、武器だと思います。
しかし、その経験が自身を減速させている可能性があるとのこと。
これって結構思い当たるふしがないでもないような。。。
あえてアクセルをかけるよう意識してみる。
さらっと書かれていましたが、かなり重要なことではないでしょうか?

羽生 / あえてトレーニングを課さないとダメな時代になっていると思います。昔はあえてそんなことをやらなくたって、時代でトレーニングできていた。でも、今は逆。あえて苦しい状況を作ってやらなきゃいけない。/169

不景気といいつつも、日々の食事や住むところに困るわけではありません。
日本という国は、なんだかんだ言ってもそれだけ恵まれている国なわけです。
逆境に身を置くこと、今までと違った世界に身を置くこと。
意識的にそういうことをやることは、必要なのかもしれません。

白石 / 僕、あきらめるというのは悪い決断じゃなくて、「あきらかに」「見極める」ということだと理解しています。僕は何度もあきらめたことがあります。でも投げ出したことはないけどね。/p196

白石 / 僕は講演では、苦しいときもあるでしょう、泣きたいこともあるでしょう、歯を食いしばることもあるでしょう。でも、そこから絶対に逃げないでね、そうしないと一生追いかけられるからね。苦しいことでも逃げないで受け入れるんです。よのなかのせいにしたり、人のせいに絶対にしないこと。すべてを受け入れると、自分の内にはいります。内に入ればすべての主導権を握れるのです。と話します。/p205

ただ、現状がいやで逃げる、あきらめる。これは進歩のない行動です。
同じあきらめるなら本書にあるように、
現状を受け入れ、耐え、見極める。
そういうことをした上で、あきらめたいものです。

誰でもそうかと思いますが、
集中力なんていうものは、一生切れずに持続できるものではありません。
それは棋戦の最中でも、ヨットで世界一周をしているときでも同じようです。
問題は、何処が集中すべきポイントか、
そしてその時に、集中力をマックスに持っていけるか。
この辺りの力加減が絶妙だからこそ、
プロの棋士として生きていけるのであり、世界一周を達成できるのです。

集中すべきポイントを見極める。大いに参考にしたいところですね。



■ 書籍概要
『勝負師と冒険家―常識にとらわれない「問題解決」のヒント』
白石 康次郎,羽生 善治 著  / 東洋経済新報社 (2010/2/19)


月末恒例の書評です。

。。。っとその前に
9月18日に横浜で
「製造業応援ブログ2周年記念パーティー」が
開催されます。
皆様のご参加お待ちしております。

詳細記事はコチラ
「製造業応援ブログ2周年記念パーティー」 - すごいぞ!日本の製造業!



さて、今回ご紹介する書籍は、
グローバル企業で活躍したリーダー・増田弥生さんと、
経営学者である金井壽宏先生の共著。
増田さんの経歴、考え方を中心に、主として対談形式で構成された非常に読みやすい書籍です。

リーダーという立場について、
自分はリーダーじゃないから関係ないと思っている方や、
リーダーという立場に疲れ・悩んでいる方
には、ぜひとも読んでいただきたい1冊です。

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『リーダーは自然体 無理せず、飾らず、ありのまま』

まず、この本で特筆すべきは、増田さんの経歴でしょう。
オシャレな場所で働きたいという理由で、リコーに入社。
スタートは、お茶くみ、コピーとりといった絵に描いたようなお気楽OL。
しかし、無理せず自分のできる範囲で色々な工夫を重ねて言った結果、
リーバイスを経て、ナイキ米国本社の幹部へ(現在は退職済み)

文字通り、輝かしい経歴です。
となると、留学経験豊富とか、MBAのような資格を持っているとか思いますが
『帰国子女ではなく、海外留学の経験もなく、ましてMBA(経営学修士)でもない(178)』、
ということで、失礼な言い方ですが、
どちらかといえばその他大勢の側からのスタートと言えそうです。


■ 目次
はじめに(金井壽宏)
第一章 リーダーは自分の中にいる
第二章 新人でも「社長目線」で取り組む
----お気楽OLのリーダーシップ入門時代
第三章 どこでも通用する専門家プロになる
----転身、リーダーシップ開発の専門性を磨いた時代
第四章 自分自身のリーダーシップを磨く
----リーダーとしての「筋肉」を鍛えた時代
第五章 グローバル時代のリーダーシップ
第六章 リーダーとしてより良く成長する
終章 リーダーシップのベース:「自己理解」と「自己受容」(増田弥生)
解説(金井壽宏)



■ 書感

では、なぜこのような経歴を経ることができたのでしょうか?
それはやはり、
無理せず自分のできる範囲で色々な工夫を重ねて言った結果
であり、
目の前にあることを、しっかりと理解して対処した結果。
なのではないでしょうか?


さて、本書はタイトルどおり、
増田さんの経験を通してリーダー・リーダーシップについて書かれています。
ここでいうリーダーとは、決して役職について言っているわけではありません。

・働く組織においてリーダーと言うときは、肩書きや立場を指すことが多いのですが、リーダーシップは発揮するものであり、行動の形、存在の仕方です。だからみんながリーダーになりえます。(15)
・会社ではこわもての名物部長と恐れられているのに、自治会の会合に出てみるとどうもさえなかったという人がいたら、その人は自分のリーダーシップはあやしいと反省した方がいいかもしれません(18)
・リーダーシップは、筋肉と同じように誰にでもあると思っているからです。どんな人でもリーダーになる可能性はあります。自分にはその能力がないと言う人は、リーダーシップを使っていないか、鍛えていないだけではないでしょうか。(25)

その状況によって、誰でもリーダーであるわけです。
そういう心構えで行動している人は、自分の行動に責任が持てるでしょうし、
そうなれば、自然と評判も上がっていくでしょう。
当然、色々とチャンスを得る機会も多そうです。


しかし、行動するというのはなかなか勇気がいることです。
それが今まで経験したことのないことならなおさらです。

・イニシャティブを発揮しづらいのは、自分で自分を枠にはめてしまっているからではないでしょうか。「私は新人だから、こういうことを言ったら失礼に当たるんじゃないか」とか、(中略)しかし、こういった枠は自分の思い込みであることがほとんどです。
 それとイニシャティブを発揮して、その結果失敗したらどうしようと恐れを抱く人もいるのかもしれませんが、イニシャティブを発揮する場面というのは、まだ誰も期待しないことをするときです。(中略)もし「ダメだ」と言われても、誰もその失敗を咎めたりはしなかったでしょうし、失敗と言われることもなかったでしょう。もともとなかったものができなかったとしても、それは期待を裏切ることにはならないからです。(180)

もちろん、人に迷惑をかけないという前提はあるわけですが、
行動を起こさなければ0のままです。
行動すればその0は多少なりとも変わります。
たとえ失敗しても、それはマイナスなのではなく、
経験値という意味で、長い目で見ればプラスといえると思います。

とはいえ、やはり行動するというのは、なかなか勇気がいります。
このあたりを乗り越えられるかどうかというのは、
案外ポイントなのかもしれません。


行動するといってもただ闇雲行動すればいいというわけではありません。
行動する上で心掛けたいこと、要所要所で見直すべきことがあるわけです。

・私はリーダーには、「doing(何をするか)」もさることながら、「being(どう在るか)」も大切ではないかと思うのです。(216)
・リーダーシップを身につけ成長していくためには、今の自分をできるだけ正確に知る「自己理解」と、その自分を受け入れる「自己受容」が欠かせないと私は思っています。この2つがうまくできないと、リーダーとして成長していくのはかなり難しくなります。(220)

自分自身を正確に理解するといのは、意外と難しかったりします。
仮に理解できていても、それを受け入れられなかったり。。。
しかし、理解できてそのことを受け入れることができれば、
それが一見マイナスに見えるようなことも、
もしかしたらアピールできるポイントになるのかもしれません。



人はワインとは違います。樽の中でじっとしたまま、時が過ぎるのを待っていても、熟成することはないのです。(248)

じっとしていて成長するのはお腹だけです。
自己を成長させたいのなら、うだうだ言ってないで
できることから行動してみることが大切です。



■ 書籍概要
『リーダーは自然体 無理せず、飾らず、ありのまま (光文社新書)』
増田 弥生・金井 壽宏 著 / 光文社(2010/6/17)

月末恒例の書評です。

人工衛星の『まいど1号』ってご存知でしょうか?
東大阪の中小企業が集まって作った人工衛星として話題になりました。
その計画の発起人であり、中心人物となっていたのが、
今回の本の著者 青木豊彦さんです。

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『まいど!宇宙を呼びよせた町工場のおっちゃんの物語』

実は10日ほど前に、青木さんの講演を聴く機会がありました。
その内容に、非常に感銘をうけ、
また、涙あり、笑いありの話し方に、
文字通り引き込まれてしまいました。

ですから、青木さんの著書を
講演後に早速入手し、今月の書評本に当てることにしたわけです。

ということで、
今回の書評は、本の内容に加えて、
講演の内容を交えつつお送りいたします。

なお、講演につきましては、
私個人のブログでも取り上げています。
よろしければご参考ください
(参考 / 【外出】 『まいど1号』でおなじみ青木社長の講演を聴いてきた。|2代目設計屋・仕事っぷり


■ 目次
第1章 おっちゃんたちの挑戦―若者をモノづくりの現場へ
第2章 「まいど1号」プロジェクト発進
第3章 モノづくり企業としての道のり
第4章 理事長辞任、そして再出発
第5章 LLPまいどのミッション
第6章 不況のときこそチャンス
第7章 心強きパートナー
第8章 いまこそ誇りを



■ 書感

・東大阪のモノづくりの中小企業の中には、他社には真似できない、いわゆるオンリーワンの技術を持った企業が多くあります(中略)
 ただ、そのモノづくりの中小企業がガタガタになっている。景気が悪いということもありますが、何より問題なのは、モノづくりの現場に若い人がいないということです。
 このままでは東大阪がダメになってしまう、モノづくりがダメになってしまう。そんな強い危機感の中で、人工衛星作りは始まりました(p12,13)

実際問題、製造業においては後継者不足、人材不足は深刻です。
それを嘆く声は色々なところから聞こえてきます。
しかし、その多くは嘆くだけで何もしていないのではないでしょうか?
この東大阪の例のように、若者が注目するような取組みをすること、
企業側の努力というものが必要なような気がします。

実は最初に取り組んだのは人工衛星ではなく、チタンの指輪だったそうです。
しかし、この指輪やアクセサリーの製作、すぐ取りやめになったそうです。
なぜなら、中国で買ってきたアクセサリーを見てしまったから、
原価的に日本で作っても合わない。ということに気がついたわけです。


・そんな基本的な市場調査もせずに、製造販売を始めようとしていたなんて、危なっかしいにも程があります

中小企業の中には自社の技術を生かした製品を
開発・販売している会社が少なからずありますが、
この市場調査というものを怠っている会社が多いように思います。

その製品の目的が、自社PRならともかく、
会社として売り上げを期待しているのであれば、
顧客のニーズに答えることは非常に大切なことではないでしょうか?


・売り上げ20%増とか、経常利益20%増とか目標を立てる。そこまではいい。ところがそのための方策として、こういう設備を導入するとか、こうした人材を確保しなければいけないといったことを決めた途端に、そこばかりに頭がいき、拡販をどうやって進めるとか、生産性をどう向上させ、どうコストダウンを図るとか、肝心の売り上げ増や利益増を忘れてしまう。
そういう企業が多い。これは大企業にも中小企業にも言えることだ。
目的・目標と、手段をごっちゃにしたらアカン。(p97)

達成すべきなのは目的・目標なのであって、手段ではありません。
これをごっちゃにしてしまうケースは確かに意外と多そうです。

講演で青木さんはこう言っていました。
『実は人工衛星を打ち上げることは目的ではない、これは手段である。
本当の目的は、東大阪、モノづくりの現場に若者を引き込むことにある』

先に人工衛星があったのではなく、
若者を引き込むことは何かと考えたときに、
たまたま人工衛星が引っかかったというわけです。
極端なことを言えば、人工衛星でなくってもよかったわけです。

結果的には、人工衛星という手段は、
若者を引き込むという目的に十分に成果があったようです。


・儲けるという字は、半分に割ったら“信”という字と“者”という字になります。
つまりこれは信じる者は儲かるということなんです(中略)
一番にやらないといけないのはこれなんです。信じあえる関係をつくる。それができれば、カネはあとからついてきます(p98)

講演でも、『人とのつながり』の大切さを説いてらっしゃいました。
当然、人は一人では生きていけないわけです。
信頼できる人間関係を多く築けた人が結果的に成功をするのかもしれません。


・地域を活性化するとか、モノづくりを元気にするとかいった目標を掲げる以上、そこではやはり、付加価値の高いものに挑戦していく必要があると思っています。(p184)
・「不況で仕事がない」という中小企業の社長は多いですが、仕事は自分達でつくるものです。仕事は「ください」ではアカンのです。
不況のいまこそチャレンジ。景気のせいにしたらあきません(p192)

今のご時勢で、会社の業務内容が現状のままでは、
ジリ貧になることは目に見えています。
ですから、何か新しいことを始める必要があります。
それは、まったく新しいことである必要は決してなく、
今の自社の技術を生かす、応用することで
対応できることが理想だと思います。

そこで注目すべきが、付加価値の高さであり、
付加価値が高いものを見つけ出すことが
一つの関門になるような気がします。

また、そこで仕事がない状況を景気のせいにばかりしていては、
付加価値の高いものを見つけ出すことはできないのではないでしょうか?

東大阪のおっちゃんの考え、行動から、
中小企業として生き残るためのヒントがありそうな1冊でした。


■ 書籍概要
『まいど!宇宙を呼びよせた町工場のおっちゃんの物語』
青木 豊彦 著 / 近代セールス社 (2009/11/6)


月末恒例の書評です。

能力はある、やる気もある。。。でも、なぜか評価が低い
そんな人っていませんか?

今回紹介する書籍は、
そんな残念な人にスポットを当てた一冊です。

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『残念な人の思考法』


・残念な人は、やる気OK、能力(読み書きそろばん)OK。しかし、何かが間違っているために結果がいまひとつになってしまう。
 だから、残念な人とは、決して「バカな人」という意味ではない。「もったいない人」と言い換えてもよい。(p11)

ということで、
誰でも周りに一人(あるいは一社)ぐらいはこんな人(会社)がいるのではないでしょうか?

いや、もしかしたら気付いていないだけで、自分自身が『残念な人』かもしれません。
そんな事態を回避するためにも、読んでおきたい書籍です。


■ 目次
プロローグ なぜ残念なのか
1章 残念な人はつくられる
2章 二流は掛け算で考え、一流は割り算で考える
3章 残念な人は「塗り絵」ができない
4章 機能だけを磨いても二階には上がれない


■ 書感

・仕事の成果=プライオリティ(の正しさ)x能力xやる気(p18)
・つまり残念な人とは、プライオリティ付けの「正否」「適否」を考えない人、あるいは見誤る人のことなのである(p19)

プライオリティという言葉をグーグルで調べてみると『優先順位や優先度のこと』とあります。

要するに、能力、やる気が高いのにどこか『残念な人』とは、
『優先順位』を履き違えている人ということということができそうです。

参考までに本書の中に紹介されている『残念な人・会社』の具体例を抜粋します。

・人材紹介や採用広告会社からの電話も多い。特に、求人しに広告を掲載した日に一番多くかかってくる。内容は、すでに出している広告をベースに、同じことを提案するといったものである。すでに広告を出しているのだから、今さら同じ提案をもらっても、短期的に受けるはずもない。(中略)ひどい会社になると、同じ会社の別の人から何本もかかってきたりする。(p110)

これはかなり、残念です。


・共有すべきは「考え方」と「前提条件」(p140)
・報告に当たっては「結論から話しなさい」といわれる。確かにその通りなのだが、重要なのは「考え方」や「前提条件」である。
・時間がなくても「考え方」「前提条件」は絶対に共有しなければならない

大抵のビジネス書で『結論を明確に伝えること』の重要性を説いています。
たしかに、結論がぼやけてしまっては、意味がありません。
しかし、本書にあるように、『考え方』『前提条件』の共有は、
仕事を円滑に運ぶために絶対に必要ではないでしょうか?

例えば、
サッカー(ワールドカップ真っ只中なので。。。)
目指す結論は、
ゴールを奪うこと、ゲームに勝つことです。
しかし、パスを細かく回してゴールを奪うのか、
カウンターを狙うのか、
はたまた個人技で行くのか。。。
『考え方』がチーム内でバラバラだったら試合にはなりません。

このように、よい結論を得るためにも、
本書にあるように、『考え方』や『前提条件』の共有は必須といえそうです。


他に本書で、気になった部分の一部を抜粋します。

・普通の人ががんばればできる「仕組み」が大切(p75)
・ゴールの見えない話し方をすると残念なヤツだと思われる(p124)
・上司は人間として上なのではなく、「役割」として上なだけである(p142)
・小さな約束を守れない人と大きな約束はできない(p151)
・経営者の仕事はビジネスモデルを考えることと、優秀な人が集まり、それを維持する仕組みを作り、運営していくことだ(p182)

特に一番最後の抜粋。
中小製造業の場合、経営者が率先して現場に出ていることが多いかと思います。
それはそれでいいのですが、
仕事がつまってきたときに現場仕事に夢中になるあまり、
ビジネスモデルを考えたり、仕組みづくり、運営をがおろそかになる場合が
多々あるように思います。

実際、納期的な余裕もなく仕方がない部分もあるかもしれませんが、
会社を存続させるためにも、心掛けておく必要があるのではないでしょうか?


書感の冒頭にも書きましたが、残念な人かそうでないかのポイントとなるのはプライオリティ(優先順位)です。正しく考えることが大切となるわけですが、一つ注意が必要です。

・ある状況でプライオリティの高いことは、別の状況ではまったく役に立たないこともある。このようにプライオリティは状況依存的であり、相対的なものであることを知った。(p228)

状況に応じてプライオリティの高さが変わるということ。
ですから、絶対に大丈夫と思ったプライオリティでも、
定期的な見直しが必要なのかもしれません。

そして、『残念な人』に陥らないようにプライオリティを設定していきたいものです。


■ 書籍概要
『残念な人の思考法(日経プレミアシリーズ)』
山崎 将志 著 / 日本経済新聞出版社 (2010/4/9)



月末恒例の書評です。
今回ご紹介する書籍は、 『もしドラ』の愛称でお馴染みの
現在大ヒットとなっているコチラです。


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『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

 

マネジメントの父と称され、世界最高の経営学者といわれた

ピーター・ドラッカー教授の経営書『マネジメント』。


高校の野球部の女子マネージャーみなみは、書店にてこの本を間違えて購入してしまいます。
はじめは難しくて後悔するのですが、しだいに野球部のマネジメントにも生かせることに気付きます。

 

甲子園を目指す野球部に、『マネジメント』を取り入れた感動の青春物語。

 

というわけで、この本は、
ドラッカーの『マネジメント』という、硬い本を題材にしているにもかかわらず。
すっと入り込めて、一気に読め、しかも、感動すらさせてくれる。


普段、ビジネス書を敬遠している方にも是非おススメしたい一冊です。




ただ、表紙が恥ずかしいんですよね

 


■ 目次
第一章 みなみは『マネジメント』と出会った
第二章 みなみは野球部のマネジメントに取り組んだ
第三章 みなみはマーケティングに取り組んだ
第四章 みなみは専門家の通訳になろうとした
第五章 みなみは人の強みを生かそうとした
第六章 みなみはイノベーションに取り組んだ
第七章 みなみは人事の問題に取り組んだ
第八章 みなみは真摯さとは何かを考えた


 

■ 書感

本書には本家『マネジメント』の引用が多くでてきますが、
引用の引用になってしまうので、
この書評では、あえて『マネジメント』の引用部分を避けて書いています。


本屋さんまでやってきた彼女は、店員にこう尋ねた。
「何か『マネージャー』、あるいは『マネジメント』に関する本はありますか?」
(中略)
「これなんかいかがでしょうか?これは『マネージャー』あるいは『マネジメント』について書かれた本の中で、最も有名なものです。
(後略)」(p13)

 

こうして、野球部の女子マネージャーであるみなみは
ドラッカー教授の『マネジメント〜エッセンシャル版』に出会います。
「女子高生にドラッカーを勧める店員さんって。。。」
という疑問は、話が進まないのでなしです。

 

 

・結局、野球部の定義は分からずじまいだった。そこでみなみは、もう一度『マネジメント』を初めからじっくり読み返してみた(p35)
・『マネジメント』を読み始めて以来、みなみには一つの信念が芽生えていた。−迷ったら、この本に帰る。答えは、必ずこの中にある(p43)

 

このようにみなみは、ことあるごとに『マネジメント』を開き、繰り返し読みます。
言うならば、みなみにとって『マネジメント』は座右の書となったわけです。
多くの本を読み、色々な知識、技術を知ることは大切なことです。

 しかし、このみなみように、一冊の信頼できる書籍に出会えることは
非常に幸せなことであり、実は非常に大切なことだと思います。

 


・「働く人たちに成果をあげさせる」ことは、マネジメントの重要な役割だった。そのためみなみは、「どうやったら部員たちに成果をあげさせられるか」ということをずっと考えてきた(p89)
・人を生かす!
 それがこの頃のみなみの口癖になっていた。一日二十四時間、どうやったら人を生かすことができるか、そのことばかりを考えていた(p121)

 

そしてその座右の書に書かれていることを、日々実践しようとして常に考える。
うっかり、読んだだけで満足してしまいがちですが、
このような本は実践してこそ意味があるわけです。

みなみのように、常に考え実践しようとしなければなりません。

 

 

冒頭にも書きましたが、この書籍の評価は、
ドラッカーの『マネジメント』という本を、
非常に読みやすく、広い範囲の方に読めるように仕上げたことです。

 

しかし、それ以外にも、
一冊の本との出会うことの大切さ。
繰り返し読み、愚直に実践していく、ことの大切さ
そんなことを教えてくれている気がします。

 


『マネジメント』というと硬いイメージかもしれませんが、

誰だって、何かをマネジメントしているはずです。


本家ドラッカーの『マネジメント』は気軽に読むには敷居が高い本ですが、
この『もしドラ』なら、比較的気軽に読み始めることができると思います。

 

『マネジメント』の取っ掛かりに是非




ただ、表紙が恥ずかしいですけどね

 

 

■ 書籍概要

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
岩崎 夏海 著 / ダイヤモンド社 (2009-12-04)

 

・世界の全人口65億人のうち、90%にあたる58億人は、私たちの多くにとって当たり前の製品やサービスに、まったくといっていいほど縁がない。さらにその約半分は、食糧や、きれいな水、雨風をしのぐ場所さえ満足に得られない。(イントロダクションより)

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『世界を変えるデザイン ―ものづくりには夢がある?』

 

月末恒例の書評です。
今回、ご紹介する書籍のテーマはずばりデザイン。


デザインというと、

オシャレで使い勝手がよくって、その代わり少し高いというイメージがあるかと思うのですが、

本書で言うデザインは、ちょっと違います。


本書で言うデザイン。

それは世界の人口の90%にあたる人々へ向けた、

シンプルで機能的で、低価格な本当に生活するために必要なもの。


もしかしたら、デザインに対しての考え方を

見つめなおすきっかけになるかもしれない、そんな1冊です。


■ 目次
序文
Part 1 デザイン革命とその可能性
  世界に広がるデザイン――貧困に終止符を
  残りの90%のためのデザイン
Part 2 デザイン・プロジェクトの現場から
  畑から作られる燃料
  収入を得るためのキックスタート
  ワン・ラップトップ・パー・チャイルド(子供一人にラップトップ一台)
  安定的で再生可能な農村部エネルギー
  水を転がす スラム地域のソーラー・キッチン
  命を守るトウガラシ・フェンス
  リープフロッグを起こす――グローバル・イノベーションのためのデザイン戦略
  カトリーナ家具プロジェクト
  取り残された人々から学ぶこと――真の公共建築のためのマニフェスト
  すべての人に聴覚を
  ポットインポット・クーラー
Part 3 残りの90%のためのデザイン展 展示品の紹介
統計情報
参考文献
関連・協力組織一覧
監訳者あとがき


■ 書感

・『DESIGN FOR THE OTHER 90%』(原題より)
・世界のデザイナーの95%は、世界の10%を占めるにすぎない、最も豊かな顧客向けの製品とサービスの開発に全力を注いでいる。(p40)

本書の原題は『DESIGN FOR THE OTHER 90%』。
英語が苦手な頭を駆使して訳してみると

「(世界の)他の90%のためのデザイン」

といったところでしょうか?

 

多くのデザイナーのデザインするプロダクトは、
世界の90%の人々ではなく、10%の豊かな人に向けて作られたものだといいます。

すなわち、世界の大半の人には、

不要なもの(あるいは手の出ないもの)であるということです。


本書ではデザイナーという言い方がされていますが、
これはものづくりに携わる人すべてに当てはまる数値のような気がします。



・特別に魅力的というわけではなく、機能も限られていることが多く、価格は非常に安い。だが、そんなデザインが人間の生活を変え、時には命を救う力さえ秘めているのだ(p13)
・デザインは、場合によっては高価すぎるために、それを最も必要とする人たちにとって手が届かず、持続可能でないことがある。(p36)
・本書のテーマは、高価な解決策を提供することではなく、低価格なオープンソースのデザインの提供にある(p38)
・一日の稼ぎが2ドル以下の世界の27億人にとって、手に入る価格かどうかが決め手なのだ(p42)
・小型化と値段の手頃さの二つの面で、画期的な案を出すこと。そして三つめのポイントは、新製品を限りなく拡張していけるようにすることだ。

世の中の90%の人々が求めているものそれは、
オシャレなデザインではなく、問題を解決するためのデザイン。
余計な飾りはむしろ邪魔なわけです。


低価格で、小型で、さらに多機能ではないが本当に必要な機能が織り込まれている。

そんな製品が求められています。

今、我々の周りにある製品とは、

どちらかといえば逆の発想が必要になってくるわけですね。


ここで求められているデザインのポイントの一つに、

小型化があげれられていますが、

それこそ日本のものづくりの得意とするところ。

もしかしたら、日本のものづくりの方向性を検討する上で、

世界の90%の人々のことを考えることは、必要なことなのかもしれません。



・世界の貧困層の生活を改善したいという動機で、手頃な価格の製品の開発を始めているデザイナーが、今は少数でも増えつつあるのは確かに立派なことだ。だが、安くデザインするというプロセスを推し進める、本当に長続きする原動力は一つしかない。
 それがお金になるからだ。(p59)

本書で取り上げられているデザインは、社会的に有意義なことです。
しかし、職業として、デザインやものづくりに関わっている以上
そこに利益がなければ意味はありません。


少し乱暴な言い方かもしれませんが、
これは慈善事業ではなく、ビジネスなのです。


社会的に意義のあることをして、利益を得る。
それって、すばらしいことではないでしょうか?


ちなみに、本書。
ふんだんにカラー写真が掲載されており、
読むだけでなく、見ることでも伝わってくるつくりになってます。



そんな本書で紹介されている製品群の中から、
Q-ドラムという製品に関する動画がありましたのでご紹介します。




仕組みは非常に単純です。

従来なら、重いバケツを抱えて川まで水を汲みに行っていたのを、
Q-ドラムを採用することで、転がしながら運ぶことができるようになったというもの。


恐らく多くの方が、ニュースやドキュメンタリー番組などで、
川まで水を汲みにバケツを抱えて行く人がいる事実
を知っているのではないでしょうか?


それを見て。。。
『大変だなぁ』と思うか、
『先進国の税金を使って整備すればいいのに』と思うか、
『転がして運べる製品をつくろう』と思うのか、


ものづくりに携わるものとして非常に考えさせらる一冊です。



■ 展示会の情報
本書に関することを、ネットで調べていたら、

偶然にも、5,6月に東京で展示会が開催されることが解りました。


『世界を変えるデザイン展』 http://exhibition.bop-design.com/

・東京ミッドタウン・デザインハブ(港区赤坂)
5月15日(土)〜6月13日(日) 11:00 ? 19:00
・アクシスギャラリー(港区六本木)
5月28日(金)〜6月13日(日) 11:00-19:00(最終日は17:00まで)

入場料 : 無 料


2つの会場で開かれるこの展覧会。
興味がおありの方は是非。



■ 書籍概要
『世界を変えるデザイン――ものづくりには夢がある』
シンシア スミス/編, 槌屋 詩野/監訳, 北村 陽子/翻訳  
英治出版 (2009-10-20)


月末恒例の書評です。
今回ご紹介するのは、37シングナルズという、
アメリカのウェブ会社の主要メンバー2人によって書かれた本です。
 

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【小さなチーム、大きな仕事 〜37シグナルズ 成功の法則】

 

この『37シグナルズ』という会社。

私は本書を読むまで知らなかったのですが従業員数は数十名(しかも2つの大陸に散っている)で、数百万人のクライアントを抱えているとのことです。

まさにタイトルどおり小さなチームで、大きな仕事をしている企業といえます。

 
IT系と製造業という差はありますが、同じ中小企業ということで、
かなりツボにはまる部分の多いおススメできる書籍です。
 
 
■ 目次
まず最初に
見直す
先に進む
進展
生産性
競合相手
進化
プロモーション
人を雇う
ダメージ・コントロール
文化
最後に

 

 

■ 本書でグッときた厳選5点。

では、数多くのチェックから
厳選して5つをピックアップしてお送りしたいと思います。

・あなたに必要なものを作る(p28)
 すごい製品やサービスを生み出す最も単純な方法は、あなたが使いたいものを作ることだ
 
製造業をやっていると「自社製品を作りたい」ということを思う方は多いかと思います。そんなとき、心掛けたいのが『自分にとって必要なもの。』『自分がお金を出して買いたいもの。』を作るということ。自社の技術をアピールするための製品でしたら別かもしれませんが、自分が買いたいと思わないものを作っても売れる可能性は低いかもしれません。

・中途半端な製品ではなく、半分の製品(p51)
より良いもののためには、愛着のあるものをいくつか犠牲にしないといけない。
やりたいことを半分にするのだ。中途半端な一つのものよりとてもよくできた半分の大きさのものの方がいいに決まっている。量より質だ。
 
多機能な製品・多様なサービスを、我々中小企業が目指しても、人材豊富な大企業、メーカーに勝てるわけはありません。
ですから目指すのは、あれもできる、これもできるという姿勢ではなく、シンプルにひとつのことを突き詰めることではないかと思います。

・ツールよりも中身が大事(p62)
すでに持っているものや、安く手に入るものをフル活用しよう。
大切なのは道具ではない。できることから、持っているものでやっていく。
 
まぁ、正直言って、新しい設備を投資する予算もないのですが。。。
何かを始めようとしたときに、道具がないからできないというのはよく聞くところです。しかし、それは言い訳です。
そういうことではなく、本当にやりたいことなら現状を工夫して、とにかくやってみることが大切なわけです。

・副産物を売る(p64)
 何かを作るとき、実は何か別のものも生まれている。決して生まれてくるものは一つではないのだ。
どんなものにでも副産物がある。すぐれた洞察力を備え、創造的なビジネス・マインドを持った人は、こうした副産物に注目し、チャンスを見出すのだ。
 
そしてひとつのものを追求した結果、それ以外の副産物も生まれていると本書ではいっています。その副産物を見逃さず、何らかの形で商品化できれば企業としては理想的な成長をしているといえるのではないでしょうか?
 
・文化はつくるものではない(p163)
 文化はつくるものではない、自然に発達するものである。
 無理に文化をつくろうと考えないことだ。上等のスコッチのように、熟成には時間がかかるのだ。
 
企業の文化、理念や目標というのは、無理やり設定するものではないとのこと。確かに、何年何十年とその会社が存続していれば、自然発生的にその企業の文化が育まれるような気がします。
それはきっと、言葉で表すものではなく、社員一人ひとりの行動や考え方として反映されているものなのかもしれません。


本書は正直『おいおい、それは言いすぎだろ?』という部分もなくはないですが、
大筋において、中小企業に身を置く上で
心掛けたいこと、気をつけたいことがふんだんに書かれています。
中小企業の経営層だけでなく、従業員の方々にも是非読んでいただきたい1冊です。


■ 書籍概要
小さなチーム、大きな仕事』
ジェイソン フリード  , デイヴィッド・ハイネマイヤー ハンソン /著
早川書房 (2010-02-25)
 

 

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