こんにちは。yamagです。
今週は、和氣製作所の後半をお送りいたします。
前編は、こちらです→ http://www.sugoizo-blog.com/2009/09/-yamag.html
さて、それでは、誠度さんの紹介をしていきましょう。
誠度さんは、牧野フライス製作所の金型加工技術センターで働いていた経験があります。
話しを聞くと、ちょうど高速加工機が出始めのころでした。
当時、高速加工というと、技術情報は少なく、対応している工具やCAMも少なく、すべてが手探りの状態でした。
推奨される加工条件は、fpコンセプト。
工作機メーカーはじめ、工具メーカー、CAMメーカー、金型メーカー、、、 どこも最適な切削条件を見極めるのに懸命でした。
ある会社で「高速加工で金型を削った」などと話しが広まれば、自動車メーカーや工具メーカー、商社、競合メーカーまでもがその金型を見に行くほど、今でこそ当たり前の高速加工は、一目置かれるほどの高度な技術でした。
誠度さんは、そのような時代の中、工作機メーカーで高速加工の技術、ノウハウを身につけたのでした。
「加工の段差は絶対に作らない!」
「高速・高品位・高精度」
これは、誠度さんの一番のこだわりです。
機械加工は、加工パターンや使用する工具が換わると、前工程の加工面と一致せず加工段差が生じることがあります。
不思議と工具が小径になればなるほど、その段差は顕著に現れます。
要因はいろいろあると思いますが、段取り誤差、機械特性、空調設備など、現場環境によるものが一番大きいと言われています。
この加工段差を如何に小さく出来るかが、加工担当者の腕の見せ所になるわけです。
この加工の段差は、大きければ大きいほど後工程(磨き作業)においての負担が大きくなり、それを消そうとすればするほど、当然ですが加工面品位の劣化に繋がります。
誠度さんは、この加工段差をなくすため、連日連夜、機械に張り付いてテストカットを繰り返し、その要因をひとつひとつ解決していきました。
実際に加工されたものを拝見させていただきましたが、確かに加工段差は見当たりません。
間違いなく工具交換しているのに、まったくその形跡を見つけることができませんでした。
これが、誠度さんの職人技。
真似のできない技術なのです。
この技術を要求されたものが、上の画像、燃料電池セパレータの金型加工です。
工具段差を最小限に抑え、さらにZの寸法精度を±0.0015で加工するといったものです。
誠度さんは、言います。
「当初は「この精度を切削加工で可能なのか・・・」と不安もありましたが、それ以上に可能にしたいという気持ちが上回っていました。気持ちで勝ちました(笑)」。
少しでも食い込んでしまうと、最初から加工し直しになってしまいますから、精神的にも相当大変だったと思います。
でも、この経験は誠度さんを成長させてくれたようです。
さらに誠度さんは、続けます。
「この燃料電池の仕事を経験させていただいたおかげで、私自身がマシニング加工の永遠のテーマだと思っている「工具段差を無くすための追求」「Z寸法の高精度加工」などの技術が少しは身についたのではないかと思います。まだまだ未熟ですが・・・」
誠度さんの技術レベルは、このようにして、日々向上しているのです。
僕は、誠度さんの高い技術力を数行で紹介してしまいましたが、これは本当にすごい技術なのです。
機械加工は、工作機械を導入し、NCを勉強すれば、誰でも加工でできるようになります。
工具の種類は豊富ですし、今のCADCAMは、オペレーションが簡単なので3D加工もそれほど難しくないでしょう。
しかし、それはあくまでも「形」を削り出すだけの話。
「製品」を作ることとは違います。
「外注費を抑えるために自社で工作機を導入したが、結局、上手く削れずに外注している」という話をよく聞きます。
内製比率を上げて、利益を上げていくのが企業の目標ですから、それは決して悪いことではありません。むしろ、当然のことでしょう。
僕が言いたいのは、設備しただけでは、”本物のものづくり”はできないということです。
その外注先には、日々の加工経験で培った、目に見えない高度なノウハウがたくさんあり、それがあるからこそ高精度な高品質な「製品」を作ることがができるのです。
発注するメーカーは、そこにプライスレスの価値を感じてほしいと思うのです。
話しは変わりますが、
この金型(入れ子)、なんだか分かりますか?
ヒントは側面の3つ穴形状。
おそらく、だれでも一度は使ったことがあると思います。
実はこれ、あの自動販売機専用アイス、セブンティーンのアイススティックなんです。
分かりました?
まさか、こんなところでセブンティーンアイスに遭遇するとは思ってもみませんでした。
セブンティーンアイスは、近所の家電量販店の入り口あるので、行くとついつい買ってしまいます。
ちなみに僕と息子はいつもチョコミント。女衆は、「限定」ものに弱いようです(笑
先日も買いましたが、食べた後、まじまじとスティックを見て入子線を確認してしまいましたよ。
子供らにも見せて、その場でプチ金型教育(笑
みなさんもセブンティーンアイスを買ったら、和氣製作所さんを思い出して入子線を探してみてください。
さ、話しを戻します。
和氣製作所では、昨年、厚木工場にCNC旋盤を導入しました。
汎用旋盤だけでは、できない仕事が増えてきたからです。
CNC旋盤は、段取り換えをしなくてもワンチャックで複雑な加工ができます。
今までは、汎用旋盤加工の後に専用治具を作ってフライス加工をしていたため、材料費や工数が多く掛かっていましたが、この機械を導入したことで工数短縮、コスト削減を図ることができました。
あとは、このマシンに誠度さんの技術のスパイスが加わり、、、
どのような加工物が出来上がるか、もうおわかりですね。
この厚木工場には、CNC旋盤のほかに大型のワイヤー放電加工機があります。
マキノのU86と言って、最大ワークはなんと
1220×910×500 まで対応可能だそうです。
この近辺ではなかなか設備しているところがないため、加工依頼は多いのだそうです。
もし大物のワイヤー加工の案件を持っている方がいましたら、是非、和氣製作所に相談してみてください。
今回の取材は、本社工場のみでしたが、厚木工場には、誠度さんのお兄さんがいらっしゃるということなので、また何かの機会にお邪魔させてもらおうかと思っています。
和氣さん、お忙しいところ貴重なお時間を頂きまして、ありがとうございました。
これからもその高い技術力と熱いものづくり魂で日本の製造業を盛り上げてください。
これからも応援しています!
今回、紹介した和氣製作所の技術に興味にある方は、直接、お問い合わせ頂くか、
seizo-ouen@gs-field.netへご連絡ください。
有限会社和氣製作所
[本社工場]
〒146-0082 東京都大田区池上3-4-11
TEL 03-3755-4521
FAX 03-3755-4637
[厚木工場]
〒243-0303 神奈川県愛甲郡愛川町中津835-2
TEL 046-284-2130
FAX 046-284-2131
http://www.waki-ss.com
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